協会を作ろうと決心したけれども、数日たって
「自分はなぜ協会を作りたいんだっけ?」
ときどきそれが分からなくなってしまうこと、ありませんか?
やりたいことは、ある。
だから何か形にしたい。
でもそれを実行するのに、「協会」というスタイルがほんとうに良いのか…。
協会総研の講座を受講する人の多くは、このような方々です。
「自分はなぜ協会を作りたいんだろう?」
こんな自問自答をしてしまい、ふらふらと迷ってしまうのは、協会を作った場合にそれがどのように動き、将来どうなっていくかがイメージできていないから。
心の中が漠然としているからでしょう。
なので、協会のイメージをしっかり作る必要があります。
それができた人は協会を作るべきですし、できない人は協会を作るべきではありません。
自分の協会のイメージをしっかり作るためには、
- 協会の活動目的
- 会員の定義
- 会員の役割(活動)
- 協会の役割(活動)
この4つが重要ポイントになります。
協会の活動目的
あなたが作りたい協会の、活動目的は何ですか?
協会には活動目的が必要です。
活動目的とは、「目指す世界」「目指す未来」のことを指します。
実現したい世界や、作りたい未来の姿が、活動目的になります。
たとえば
「捨てられるペットがいない未来を作りたい」
「心理学の知識が社会常識となっている世界を目指す」
といったものです。
こうした未来像や目指す世界の姿は、あなた1人で実現できるものであってはなりません。
1人でできることなら、会員を集める必要がなくなるからです。
活動目的は、おおぜいの人の協力と努力があってはじめて実現可能なものである必要があります。
だからこそあなたは協会を作り、会員を募るのです。
あえて極論すれば、会社には活動目的は要りません。
利益をあげることが、目的だからです。
利益をあげるために何をするか、すなわち「手段」については問われません。
犯罪のようなものでないかぎり、どうやって利益をあげるかは会社の自由です。
これに対し、協会は明確な活動目的によって成り立っています。
活動目的があるから、存在が許されているともいえます。
活動目的のない協会は、協会ではありません。
ただし、「利益をあげること」は協会の活動目的にはならないことに注意してください。
協会にとって利益は結果であり、目的ではないということです。
活動目的に沿って活動した結果、利益が生まれることになります。
- 「捨てられるペットがいない未来を作りたい」と思って必至に活動した結果、利益が生まれた。
- 「心理学の知識が社会常識となっている世界を目指す」ために頑張った結果、利益が生まれた。
そんなイメージです。
会員の定義
会員になるための条件は、何ですか?
協会は会員によって成り立っているものですので、
「だれを会員と呼ぶか」
「だれを会員と呼ばないか」
の区別を明らかにする必要があります。
たとえば、ある協会では
「協会が実施する資格講座の基礎コースを修了した人を会員とする」
という定義づけになっています。
この場合、たとえどんなに協会に近しい人でも、「協会が実施する資格講座の基礎コースを修了」していなければ、会員として認められません。
また、ある協会のでは
「協会の活動目的に賛同し、その証として会費を払っている人を会員とする」
という定義づけになっています。
この場合、たとえどんなに協会のファンであっても、会費を払っていなければ、会員として認められないことになります。
繰り返しになりますが、協会は会員によって成り立っているものです。
会員が増えれば増えるほど、前章で述べた「協会の活動目的」の実現に近づきます。
したがって、協会はつねに会員が増えることを歓迎しなければなりません。
「会員が300人になったから、このへんで締め切ろう」といった考え方は協会には当てはまりません。
当てはまるとすれば、それはただの「会員制」であり、協会ではありません。
会員の役割(活動)
あなたの協会は、会員に何を期待しますか?
「わたしたちは何をしたらいいでしょう?」と会員から聞かれたら、どう答えますか?
会社にとっての「顧客」と、協会にとっての「会員」とは、大きく違います。
「顧客」とは、会社が提供する商品やサービスを消費する存在です。
お菓子を買ったら、それを「食べる」という消費。
本を買ったら、それを「読む」という消費。
会社が顧客に期待するのは、「消費するという行動」だけです。
顧客は多くの場合、受身です。
いっぽう「会員」とは、協会と一緒に活動する存在です。
前述したように協会には活動目的があり、そのために会員を募っています。
会員は、それを理解したうえで会員になっています。
つまり会員は、何らかの活動をすることを、協会から期待されています。
会員になってしまったら、何もせずじっとしていることはありえないのです。
受け身ではないということです。
したがって協会は、会員に何を期待しているのかを、会員に伝え、行動をうながさなければなりません。
実際には「何もせずじっとしていたい」という会員はほとんどいません。
そもそも協会と一緒に何かをしたくて会員になるのですから。
なので、会員のほうも、自分たちが協会から何を期待されているのかを、知りたいと願っています。
「捨てられるペットがいない未来を作りたい」という活動目的の協会の場合、会員は「捨てられるペットがいない未来を作るのに、自分も役に立ちたい」と思っています。
そのために、1人の会員として何をしたらいいのか?
その問いに、協会は答えなくてはいけません。
「心理学の知識が社会常識となっている世界を目指す」という活動目的の協会の場合、会員は「心理学の知識が社会常識となっている世界を作るのに、自分も役に立ちたい」と思っています。
そのために、1人の会員として何をしたらいいのか?
その問いに、協会は答えなくてはいけません。
これが、「会員の役割」の本質です。
協会の役割(活動)
あなたの協会は、会員のために何をしますか?
協会の役割(活動)は3つあります。
1つは、会員募集を含め、会員を増やすことです。
1つは、会員に役割を与えることです。
最後の1つは、会員の活動(会員が役割を担っていくこと)を、舞台裏からサポートすることです。
会員を増やす
協会は、会員を増やさなければなりません。
会員が増えれば会費収入や受講料収入が増えたりしますが、それらは会員が増えた「結果」であって会員を増やす「理由」ではありません。
会員を増やす「理由」は別のところにあります。
協会には
「捨てられるペットがいない未来を作りたい」
「心理学の知識が社会常識となっている世界を目指す」
などの活動目的があります。
しかもこれは、1人や2人の努力ではどうにもなりません。
おおぜいの仲間(会員)が必要で、おおぜいの協力と活動により、実現可能性が高まっていきます。
つまり、活動目的を実現に近づけるために、協会は会員を増やさなければならないのです。
これが会員を増やす本当の理由です。
再度繰り返しますが、協会は会員を増やさなければなりません。
「会員が300人になったから、このへんで締め切ろう」といった考え方は協会には当てはまりません。
当てはまるとすれば、それはただの「会員制」であり、協会ではないということです。
(参考)協会側はひきつづき会員を増やしたいにもかかわらず、会員側から「もうこれ以上会員を増やさないでほしい」という要求が出てくるケースがあります。これは「ステイタス・クォ」と呼ばれる現象で、認定講師制度をとっている協会によく見られます。
会員に役割を与える
会員の役割については、前述したとおりです。
会員の活動をサポートする
役割を与えられた会員は、その役割に沿って思い思いの活動をします。
1人で活動する会員もいれば、会員同士でチームを結成して活動することもあるでしょう。
そうした会員の活動を、舞台裏からサポートするために、協会は何ができるのか、どんなことをすべきなのかを考えておきましょう。
たとえば
- 会員の成長をサポートする(会員を教育する)
- 会員が活動しやすい環境づくりをする
- 会員同士が交わることでモチベーションがあがる機会を設定する
- 会員の活動範囲が広がるように、会員に企業や自治体やメディアを紹介する
なども、協会が果たす役割として十分に考えられます。
まとめ
自分の協会のイメージをしっかり作るためには、
- 協会の活動目的
- 会員の定義
- 会員の役割(活動)
- 協会の役割(活動)
この4つが重要ポイントになります。
いいかえると、
- あなたが作りたい協会の、活動目的は何ですか?
- 会員になるための条件は、何ですか?
- あなたの協会は、会員に何を期待しますか?(「わたしたちは何をしたらいいでしょう?」と会員から聞かれたら、どう答えますか?)
- あなたの協会は、会員のために何をしますか?
ということになります。
これらの問いに自分なりに答を見出すことができれば、安心して協会を作れるようになります。