起業には「会社を作って起業する」という選択肢のほかに、「協会を作って起業する」という選択肢もあります。
しかし協会という選択肢があることを知っている人は、さほど多くありません。
したがって、「協会」という選択肢を知らない大部分の人は、起業を目指すにあたり、小さくても会社を立ち上げることを想定します。
ところが幸か不幸か「協会」という選択肢もあることを知ってしまったときから、悩みや迷いが始まります。
「会社を立ち上げるか、それとも協会を立ち上げるか、どっちが良いのか」
という悩み(迷い)です。
そこで今回は、
「会社を立ち上げるか、それとも協会を立ち上げるか、どっちが良いのか」
について、考察することにします。
「会社 or 協会」という悩み(迷い)の本質
「会社を立ち上げるか、それとも協会を立ち上げるか、どっちが良いのか」
という悩み(迷い)は、なぜ生じるのでしょうか。
「協会という選択肢を知ってしまったから」というのは、答としては不十分です。
おそらく正しい答は、
「会社と協会の違いが分かっていないから」
だと思われます。
もしこの違いを分かっていたなら、どっちが良いのかを自分で判断することができるはずです。
しかし実際には悩み(迷い)が生じています。
つまり、協会と会社の違いが分かっていないところに、悩み(迷い)の原因があるわけです。
協会と会社の違いを理解することはとても大切。
会社を立ち上げても「協会みたいな会社」ではうまくいかないし、協会を立ち上げても「会社みたいな協会」ではうまくいきません。
うまくいくのは「会社らしい会社」「協会らしい協会」になったときだけです。
なお、「これから立ち上げたい人」だけでなく、「すでにある協会を元気にしたい人」も、
「なぜ会社ではなく協会なのか、すなわち、協会と会社の違い」
を理解しているかどうかで結果が大きく変わります。
会社と協会との違い
会社と協会の違いはいくつかありますが、なかでも
「会社は仕事、協会は活動」
という区別が、最も重要です。
本章では、この点につき、AさんとBさんの事例を使って説明します。
Aさんの例
Aさんがとあるイベントに呼ばれてそこで講演をしたとします。
イベントの主催者に講演の報酬を聞いたところ、10万円という回答でした。
Aさんは「10万円なら、いいか」と納得し、講演を引き受けました。
そして講演をし、約束どおり10万円の報酬を受け取りました。
この出来事は、会社のロジックとよく似ています。
Bさんの例
いっぽう、Bさんもイベントに呼ばれてそこで講演をしたとします。
Bさんには、ある信念があり、その信念を伝えることができるならと、講演を引き受けました。
ただし、事前に報酬を聞くのを忘れていました。
自分の信念を伝える場ができたことが嬉しかったので、報酬のことはどうでもよかったのです。
講演が終わってBさんが帰ろうとすると、イベントの主催者がやってきて
「すばらしい講演でした。少ないですがこれは謝礼です」
といって10万円の入った封筒を、渡してくれました。
この出来事は、協会のロジックとよく似ています。
AさんとBさんの違い
AさんもBさんも結果的には10万円を受け取ったわけですが、
- Aさんは10万円をもらうために講演をしました。
- Bさんは信念を伝えるために講演をしたのですが、結果的に10万円の謝礼をもらいました。
Aさんにとって講演会は仕事や生業、すなわち「対価を得るための手段」でした。
しかしBさんにとって講演会は「信念を伝えるための場」でした。
やったこと(講演)と得たもの(10万円)は同じなのですが、意味づけが異なります。
会社と協会の違い
AさんとBさんの違いは、会社と協会の違いにも似ています。
- 会社は「報酬」を得るために「仕事」をします。
- 協会は「信念」を伝えるために「活動」をし、結果的に報酬を得ます(結果的に報酬を得ているところがポイントです)。
「会社は仕事、協会は活動」だということです。
自分はどちらを選ぶべきか
「会社は仕事、協会は活動」。
したがって
「会社を立ち上げるか、それとも協会を立ち上げるか、どっちが良いのか」
という問いに対しては、
- 「仕事」をしたいなら会社
- 「活動」をしたいなら協会
というのが答となります。
「仕事」をしたいのか「活動」をしたいのか。
ここを自問自答し、悔いのない選択を行ってください。
まとめ
「会社を立ち上げるか、それとも協会を立ち上げるか」という悩み(迷い)があるのは、会社と協会の違いが分かっていないところに原因があります。
会社は「報酬」を目的として「仕事」をします。
協会は「信念」を伝えるために「活動」をし、結果的に報酬を得ます。
したがって、
「仕事」をしたいなら会社を立ち上げる
「活動」をしたいなら協会を立ち上げる
という判断基準で、選択をすることになります。