はじめに
協会と会社は、その運営の仕方やメンバーとの関わり方において大きな違いがあります。特に、協会の会員は「顧客」としてではなく「仲間」として扱われるべきであり、この違いが協会の成功の鍵となります。この記事では、協会がどのように言葉を選ぶべきか、そしてその言葉遣いがどれほど重要かについて詳しく解説します。
顧客感と仲間感
協会が会社と異なる点の1つは、
協会の会員は「顧客」ではなく「仲間」である
ということ。
したがって、協会の会員に対しては、「顧客扱い」するのではなく「仲間」として扱うことが大切です。
「顧客扱い」するなら、わざわざ協会を運営しなくても会社を運営すればよいし、会社でやるほうがうまくいきます。
わざわざ協会を作ったのに、会員を「顧客扱い」するのは失敗のもと。
自動車のエンジンにたとえると、ディーゼルエンジンは軽油で動き、ガソリンエンジンはガソリンで動きますね。
ガソリンエンジンに軽油を入れても、逆にディーゼルエンジンにガソリンを入れても、どちらもろくなことになりません。
これと似ています。
話し言葉の言葉づかい
「仲間」として扱っているかどうかは、具体的にはもっぱら言葉にあらわれます。
協会の場合、サービス業みたいな言葉づかいはNGです。
たとえば、
- 会社が顧客に話しかけるときは「〇〇様」と「様づけ」をしますが、協会が会員に話しかけるときは多くの場合「〇〇さん」と「さんづけ」をします。
- 「ようこそいらっしゃいました」は、会社が顧客に話しかける言葉ですが、協会の場合は「よく来てくれましたね」となります。
協会は会員に対してへりくだった対応はしません。
丁寧だけど対等の言葉づかいをします。
協会はサービス業ではないので、サービス業みたいな言葉づかいはかえって会員を遠ざけることになります。
よそよそしいからです。
サービス業をしたければサービス業にふさわしい言葉を使います。
そうすれば「顧客」がやってきます。
仲間集めをしたければ協会にふさわしい言葉を使いましょう。
そうすれば「仲間」がやってきます。
たとえるなら、洗練されたフランス料理店の接客言葉よりも、そのへんの定食屋のおばちゃんや八百屋のおっちゃんの言葉のほうが、仲間感があるのと似ています。
書き言葉の言葉づかい
ここでいちど、協会のウェブサイトやチラシ、パンフレットなどをチェックしてみてください。
- 顧客に話しかけるみたいな言葉遣いに なっていないか
- サービス業(会社)みたいな言葉遣いに なっていないか
を見直しておきましょう。
直したい例①
「当協会の講座を受講するとこんなメリットがございます」
「メリット」は会社用語であって協会用語ではありません。
実際にはメリット的なものが存在してもかまいませんが、それを「メリット」とは表現しないほうがよいです。
「ございます」はサービス業用語であり協会用語ではありません。
「あります」で十分です。
直したい例②
「当協会の会員になりませんか。必ずご満足いただけます」
「満足」はサービス業用語であって協会用語ではありません。
実際には協会の会員になることに何らかの満足があってもかまいませんが、それを「満足」とは表現しないほうがよいです。
「いただけます」はサービス業用語であり協会用語ではありません。
まとめ
「協会内でとびかう言葉」には神経をつかう必要があります。
ここでいう「協会内でとびかう言葉」とは
- 協会の理事やスタッフなど内部で交わされるコミュニケーション
- 講座で講師が話す言葉
- イベントなどで参加者が口にする言葉
- 講座のテキストなどに書かれている言葉
- 協会のウェブサイトに書かれている言葉
- 協会のSNSで交わされる言葉
など。
こうした言葉の集合体で協会の「文化」が形成されていきます。