はじめに
この記事では、組織運営の魅力的な側面に焦点を当て、「お約束」という概念や「ギャグ・ルール」といった独特なルールがどのようにして集団の結束や文化の発展に寄与するかを探求します。
これらの概念を理解し適用することで、協会がより個性的で結束の強いコミュニティに成長する手助けとなるでしょう。
ディズニーランドの「お約束」
ディズニーランドには
ディズニーランドを楽しむために、来場者みんなが守る暗黙の「お約束」
的なものがあることをご存じでしょうか。
ご存じの人はけっこう多いんじゃないかと思います。
その「お約束」というのは、
- ミッキーマウスのなかには、人間なんか入っていないよ。
- あれは本物のミッキーマウスであり、着ぐるみなんかではないよ。
という「お約束」です。
この「お約束」は守れば守るほど楽しめるので、来場者は喜んで守ります。
ゲームをするなら、そのゲームの世界のルールを守ったほうが楽しい。
それと同じ。
協会の「ギャグ・ルール」
協会でも、会員のあいだに何らかの「お約束」を設定してもよいでしょう。
よくあるのは「ギャグ・ルール」と呼ばれるもの。
ここでいう「ギャグ」は、一発ギャグやおやじギャグの「ギャグ」ではないです。
「禁句」という意味。
「禁句」を「お約束」に設定することで、会員どうしの結束を強めたり、協会内に文化が育つのを促進したりできます。
「ギャグ・ルール」の例①
「ギャグ・ルール」の事例を紹介します。
オリーブオイルやアマニオイルなどのヘルシーオイルに関する協会の例です。
オイルはご存じのとおり液体です。
けれども、この協会ではオイルを液体扱いせず、立派な固体として扱う決まりになっています。
- オイルは液体(=飲みもの)ではない。
- オイルは立派な固体(=食べもの)だ。
という「教義」ができています。
この協会は、そうした教義を通すことで
「ヘルシーオイルに正しく向きあう文化」
を築きたいと考えています。
これが具体的にどういう「ギャグ・ルール」になっているかというと…。
オリーブオイルなどのオイルは、ワインのようにテイスティングをします。
この協会の会員は、ティスティングを「試飲」とは言いません。
「試食」と呼ぶように指導されています。
「試飲」は禁句。
まちがって「試飲」と言った会員は叱られます。
これがこの協会の「ギャグ・ルール」です。
「ギャグ・ルール」の例②
もうひとつ「ギャグ・ルール」の事例を。
さっきの「試食」の例は、少々特殊です。
「試飲」を「試食」と言い換えるようなことをしているのは、ヘルシーオイルの協会だけだと思います。
ですが、これから述べる例は、わりとあるケースです。
- ファッションの協会
- 健康関係の協会
などでときどき見かけます。
それは、
「消費者」と言いたいときに「消費者」という言葉を使わず、「生活者」という言葉に言い換える。
つまり「消費者」は禁句。
という「ギャグ・ルール」です。
たしか、これはもともと、けっこう昔に生協(生活協同組合)の組織内で守られていた「ギャグ・ルール」だったと聞きます。
なぜ「消費者」という言葉を嫌い、あえて「生活者」と言い換えているのか。
おそらくですが、
- 「消費者」という言葉は人間をモノのようにとらえる冷血なニュアンスがあり、よろしくない
- 「生活者」には血の通ったニュアンスが感じられる
という考えから、「生活者」と言い換えるようにしていたと思われます。
これを気に入り、自分たちの「ギャグ・ルール」にしている協会が、ときどきあります。
つまり、その協会では
「消費者」と言わず「生活者」という
が教義のなかに入っており、協会は会員をそのように指導しています。
まちがって「消費者」と言った会員は、反省文を書かされ…ません。
さすがにそれはないか。
でもきちんと注意されます。
「お約束」と「ギャグ・ルール」の効用
ディズニーランドのような「お約束」も上述したような「ギャグ・ルール」も、べつに必須ではありません。
べつにそんなもの、なくたって協会は生きていけます。
でも、あればあったで、それなりの価値はあります。
価値を感じているから、
- 会員コミュニティの結束を強めるために「ギャグ・ルール」を設定する協会があったり
- 協会独自の文化を育てるために「ギャグ・ルール」を設定する協会があったり
します。
また、「お約束」や「ギャグ・ルール」は個性を醸(かも)し出すにも使えます。
もしあなたの協会が
「似たような協会は他にもあるから違いをどう出そうか悩んでいる」
としたら、「お約束」とくに「ギャグ・ルール」は協会に
- あなたらしさ
- 文化的個性
を与えるよい方法の1つです。
なお、「ギャグ・ルール」は1つか2つあればじゅうぶんです。
あまり多すぎると、
だれにインタビューしても同じ答が返ってくる、北のどこかの独裁国家
みたいになってしまいますから。
まとめ
この記事により、「お約束」や「ギャグ・ルール」といったコンセプトが協会にどのように役立つかについての理解が深まったことと思います。
これらのルールは単なる慣習ではなく、組織の文化的アイデンティティを形作り、メンバー間の結束を強化する重要な要素となります。