協会に関わっているかたは、自分自身に、こういう質問をしてみてください。
「なぜ株式会社ではなく、わざわざ協会なのだろう?」
この質問に答えることはできますか?
「協会のほうが簡単そうだから」
「協会のほうが楽しそうだから」
といった漠然とした答になっていませんか?
漠然とした答にとどまらず、もう少し論理的に協会の特長を語れるようにしておきたいものですね。
さて、「定性」「定量」という言葉があります。
定性とは、数字になりにくい感覚的な要素を意味します。
定量とは、数字になりやすい要素を意味します。
協会の特長も、「定性」と「定量」に分けて説明することができます。
「定性」の部分は、以下の記事に書いておきました。
ですので、ここでは主に「定量的な」部分について解説します。
事業モデルとしてみたとき、「協会」という仕組みを使った事業(資格講座事業)にはどのような定量的な特長があるのか。
協会が資格講座事業をメインとする場合の、
- 利益率
- キャッシュフロー
- 景気との関係
- 運営
の4つについて特長を説明します。
利益率
資格講座の場合、受講料は何万円〜何十万円とします。
決して安くはありません。
一方で主なコストは
- 講師料
- 教材費
- 会場費(オンラインの場合はかかりません)
となりますが、これはどんなに高くても、知れています。
したがって利益率は高くなります。
利益の源泉が知財(知的価値)であることを考えれば、それも当然のことと言えます。
キャッシュフロー
受講生は受講料を事前に支払うのが普通です。
これに対し、
- 講師料の支払い
- 会場費の支払い
はたいてい、講座が終わった後に行われます。
すなわち、入金が先で、支払が後。
キャッシュフローはたいていプラスになります。
景気との関連
景気が良いとき、人は出費に対して寛容になります。
資格講座の受講も、出費対象の中に含まれます。
では不景気のときはどうでしょうか。
景気が悪くなると受講生も減ると思われがちですが、案外そうでもありません。
不景気のとき、人々は転職や独立や副業を考えて講座を受講することが多いのです。
したがって、資格講座に対する景気の良し悪しの影響は比較的小さいと考えられます。
運営
一般に資格講座は、
1期、2期、3期…と、同じことを繰り返します。
なぜなら、資格講座ですので、カリキュラムが同じだからです。
そうなると、開講回数を重ねるごとに当然、講師も慣れてくるし事務局のオペレーションもスムーズになってきます。
だんだんと楽に効率的になるのです。
(経済学ではこれを「経験効果」と呼びます)
広告宣伝
たいがいのビジネスに広告宣伝はつきものです。
協会にとっても広告宣伝は有効なツールになります。
しかし、協会には広告宣伝のほかに大きな武器があります。
それは「会員」の存在です。
協会の場合
- 会員が、活動する
- 会員が、クチコミをする
といったことが起きやすいのですが、このこと自体が広告宣伝になります。
まとめ
- 利益率が高い
- キャッシュフローが良い
- 景気の波に左右されにくい
- 講座開催を重ねていくうちに、運営が楽になっていく
- 広告宣伝のコストを低くしやすい
以上が協会という事業モデルの特長となります。
こう書くと、なんだか簡単で美味しいビジネスのように見えてしまいますね。
しかし、上記のような効果効能は、協会が多くの会員(受講生)に「愛されて」初めてできることです。
この「愛される」という感情的な要素が非常に大事。
これは会社経営とは根本的に違います。
- お金を儲けたい
- 収入を増やしたい
といった(愛のない)経済的な動機だけで協会をやろうとすると、実際にはたいへん苦労します。
反対に、協会と会員とのあいだに感情的なつながりを生むように心がければ、そのような協会は良い協会に育ちます。
(参考)