協会総研はこれまで、
- 協会を作りたい個人
- 協会という形で起業したい個人
との接点が多かったのですが、近年は、
- 協会という形で新規事業をスタートしたい企業
との接点が増えてきています。
その背景にあるものと、今後の展望について考察してみました。
企業内で起きている変化
かつてチャールズ・ダーウィンは
「最も強い者が生き残るのではなく、 最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」
と言ったとされています。
生物の世界のみならず、ビジネスの世界でも同じことが言えるでしょう。
どんなに規模の大きな企業でも、どんなに安定した収益基盤を持つ企業でも、どんなに優秀な人材が集まった企業でも、変化のスピードが速いこの現代においては、現状に安住してはいられません。
ついこのあいだまで好業績に沸いていた企業が、今になって業績悪化に悩む、という例は枚挙にいとまがありません(むろんその逆の例も)。
企業側もそのことはよく自覚しています。
その証拠に、今や、「イノベーション」「新規事業」「社内起業」といった言葉は企業内で日常会話のように飛び交っています。
多くの企業が新規事業を計画したり、社員が社内起業に取り組むのを奨励したりしています。
さて、この「多くの企業が新規事業を計画したり、社員が社内起業に取り組むのを奨励したりしている」という傾向のなかで、「協会を作る」という選択をするケースが少しずつですが増えてきています。
かつて「新規事業」「社内起業」は株式会社という枠組みの中で語られることがほとんどでした。
ところが最近は、協会という枠組みの中で「新規事業」「社内起業」を考える動きが出ているのです。
協会総研にも企業の新規事業担当の方からしばしば問合せが来るようになりました。
「協会を作る」という選択
「協会を作る」という選択肢が企業内でも意識されつつある理由はさだかではありません。
ですが以下のようなことが考えられると思います。
協会は新鮮
協会は会社とはあまりにも異質な存在です。
そのため企業は、協会を作るという行動そのものに新鮮さ、イノベーションの香りのようなものを感じるのでしょう。
たしかに協会は、企業人がふだんから接している会社という組織のありかたに比べると、異質です。
- 会社には株主がいますが、協会にはいません。
- 会社には顧客がいますが、協会にはいません(会員が存在します)。
そうした点が、分かりにくさと同時に魅力のようなものを醸しだしているのかもしれません。
協会の文系性
「AI」「ブロックチェーン」「○○テック」といった今どきのテクノロジーを意識しなくても、協会は新規事業になりやすいという特徴があります。
新規事業や社内起業といえば、何らかの新しいテクノロジーを導入し、そこから新しい価値を生み出すようなことを多くの人は連想するでしょう。
多くの社員にとって、それは容易なことではありません。
しかし「協会を作る」という発想になれば、テクノロジーにこだわらない事業のイメージが、いろいろと考えられるようになります。
雑な表現をすれば、協会には「文系でもイノベーションが起こせる」といった期待があるのかもしれません。
今後の展望
かつての日本は「企業社会」でした。
「働くこと=企業に勤めること」という価値観で成り立っていました。
しかしここ20年ほどでこうした価値観は崩れる傾向にあります。
企業に所属しない形で自由に経済活動を行う動きなども生まれつつあります。
その先はどうなるのでしょうか。
1つの可能性として
「企業に所属することがなくなる代わりに、協会とともに活動する」
という働き方があると考えられます。
企業が「協会という枠組みでの新規事業」という選択肢に気づきはじめたのが現在の段階だとすれば、その先は
「企業に所属しない形で自由に経済活動を行う動き」を推進するコアとして、さまざまな協会が機能する段階が待っているのかもしれません。
まとめ
最近の企業は、協会という枠組みを使った「新規事業」「社内起業」の可能性に、気づきはじめています。
- ビジネスに「協会」を使うというアイデアが新鮮である
- 協会には「文系でもイノベーションが起こせる」といった期待がある
この2つの理由により、「協会を作る」という選択肢は企業人にとっても魅力的になりつつあるものと思われます。
いっぽう、企業に勤める個人が、今後は企業に所属することをしなくなる代わりに、協会とともに活動する可能性もあります。
いずれにせよ、ビジネス社会における協会の存在感が、高まっていくのではないでしょうか。