協会の立場からすると、
- せっかく会員になってくれた人には、いろいろ積極的に活動してほしい
- 会員が活動してくれたら、協会としてもぜひ応援したい
と思うものだが、そんな思いを知ってか知らずか、活動してくれる会員は思いのほか少ない。
「人が動かない」には、2種類ある。
1つは、「動きたくない」だ。
興味がない、必要性を感じない、それどころではない、など。
もう1つは
「何をしていいかわからない」
というものだ。
動く気はあるのだが、動けない。
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前者(動きたくない)は、もはや会員にしておく意味はない。
だって興味がなく、必要性を感じていないのだから。
そもそもそういう人は、みずから会員になろうとすることはない。
いいかえれば、協会の会員のなかに「動きたくない」人は、実際には少ない。
なので「動きたくない」については、相手にする必要がないので、気にしないでおこう。
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実際の会員の中で多いのは、
「何をしていいかわからない」
人たちだ。
たとえば、あくまでも仮の話だが、日本の「踊り」の伝統を守る協会があったとする。
そういう協会だから、会員になる人は
「日本の踊りの伝統を守りたい」
と思っているはずだ。
そうでない人は、会員になろうとしない。
協会としては、
「せっかく会員になってくれた人には、いろいろ積極的に活動してほしい」
と思っていることだろう。
ところが、みんな動いてくれない。
「日本の踊りの伝統を守りたい」と思ってくれているはずなのに、動かない。
しかたがないので、協会のほうでせっせと踊りのイベントを開催したり、会報誌を作って配ったりと、会員を鼓舞しようとするのだが…。
たしかにイベントには来てくれるし、会報誌は読んでくれる。
でも相変わらず、自分からは動かない。
受け身になっている。
よくあるパターンだ。
この状況は、
「何をしていいかわからない」人たちに「何かやってよ」と要求している
という構図になる。
これではなにも動かない。
「何をしていいかわからない」人なんているの?
と、理事長であるあなたは不思議がるかもしれない。
あなたは、したいことが明白だ。
だから協会を作って理事長になった。
だが、会員はそうではない。
- 自分らしくいきいきと活動したいから、自分がなにをしたいか模索中
- 起業して自分らしく活躍したいから、なにで起業するか模索中
みたいな人が世の中にあふれているのをあなたも知っているだろう。
会員の大部分は、そのたぐいの人たちだ。
だからといって、
「何をしていいかわからない人はバカだ」
ということではない。
決してバカではない。
ただ、思考のタイプがあなたとは異なる。
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「日本の踊りの伝統を守りたいけれど、何をしていいかわからない」
そういう会員にむかって
「日本の踊りの伝統を守る活動を、ぜひ皆さんもやってくださいね」
と協会が鼓舞しても、話は進まない。
「何をしたらいいんですか?」
と聞かれて
「皆さんの個性を生かして自由に活動してくださいね」
と答えたところで、会員は動けない。
子供のころ、宿題で読書感想文を書けと言われ、苦しんだ経験はないだろうか。
もしそのとき、模範解答があって、
「この模範解答みたいに書けばいい」
と言われていたら、あっという間に書きあげていたのではないだろうか。
ノーヒントで自由にやれと言われてもふつうはできない。
模範解答が必要だ。
具体的に「何をしたらよいのか」を示す必要がある。
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協会総研ではこれを「フォーマット」と呼んでいる。
「フォーマット」は具体的なほど良い。
また、何種類かあると良い。
「フォーマット」については、後日また詳しく解説したいと思う。