最初に強調しておきますが、そもそも年会費や月会費を設定することを、協会総研ではあまり推奨していません。
むしろ会費制を取らず、受講料を収益の柱とすることを推奨しています。
(理由はいろいろありますが、 長くなるのでここでは省略)
それでも、
「どうしても会費制にしたい」
場合は、無理にダメとはいいません。
会費制は絶対ダメ、なにがなんでもダメ、というほどダメではないからです。
そのかわり、以下のことを伝えています。
年会費や月会費をあまり推奨しない理由
「協会の仕組みさえ用意すれば、あとは年会費がチャリンチャリンと振り込まれてくる」
そんな状態を夢見て協会を始める人もいますが、それでうまくいく協会は実際にはほとんどありません。
チャリンチャリンは、多くの場合機能しないのです。
会費は税金ではないが税金にみえる
なぜなら、たしかに協会側にとってチャリンチャリンは都合のよい話だが、会員側にとっては
「しかたなく払う税金みたいなもの」
でしかないからです。
会費を払う立場になって考えてみれば、すぐに分かるでしょう。
会費を
「喜んで払う何か素晴らしいもの」
に見せることができれば、チャリンチャリンは成功します。
けれども
「しかたなく払う税金みたいなもの」
に見えてしまったら、チャリンチャリンにはなりません。
消費の痛み
では会費を
「喜んで払う何か素晴らしいもの」
に見せることは可能なのかというと、絶対できないことはないでしょうが、容易なことではありません。
会報誌を発行したり、会員限定セミナーをしたり、いろいろ工夫をしても、やはり会費は
「しかたなく払う」
と思われるパターンがほとんど。
「積極的に払いたい」と思ってもらうのは、なかなか難しい。
(参考)消費の痛み
たとえば、私たちは日々、携帯電話やスマートフォンの世話になっていますが、通話料金の請求書を払う段になるとしぶしぶ払います。
私たちは毎日、ガスや水道を使っているが、いざ請求書が送られてくると、支払いを渋るようになります。
これは「消費の痛み」と呼ばれる現象です。
サービスは毎日しっかりと享受しているくせに、支払いとなるといやいや支払うのです。
携帯電話やスマートフォン、ガスや水道という必需品でさえそうなのですから、生活必需品でもない協会の会費の請求が定期的にやってくることに対して、「喜んで払う」という心理状態を作ることがいかに難しいか、容易に理解できるでしょう。
会費はヤブヘビにもなる
会費は、不満が噴き出るきっかけになる可能性もあります。
「養成講座に高い受講料を払ったのに、年会費まであるのか」
こういう反応になるケースが少なくありません。
協会に対して潜在的に持っていた不満が、年会費の請求が来るタイミングで顕在化することがあるのです。
以上の理由から、協会総研は「会費でのチャリンチャリン」を推奨していません。
少なくとも、適当に会費制度を作っても機能しないのです。
どうしても会費制にしたいなら
「会費をいただこうと思うなら、会費に見合うサービスをしなければならない」
そう思いこんでいる人が、世の中にはかなりたくさんいます。
ビジネスとして考えたら、そういう発想になるのは無理もないことかもしれません。
ですが、それは協会の考え方とはまったく違います。
協会にとって会員は顧客ではありません。
おもてなしする相手でもありません。
会員は「仲間」「同志」です。
したがって会費は、「サービスに対する対価」ではなく、
- 好きな集団に所属するための必要経費
- 好きな集団を存続させるための分担金
という位置づけにすることが大切です。
つまり、会員さんが会費を払う理由を
「サービスを買いたいから」ではなく、
「協会に属していたいから」
「協会がなくならずに存続してほしいから」
というものにしなくてはなりません。
そうなるためには、サービスの良し悪しよりも
- 協会の考え方が魅力的かどうか
- 協会の姿勢に共感できるかどうか
のほうが本質的に重要です。
まとめ
くりかえしますが、協会総研では年会費や月会費を設定することを、あまり推奨していません。
ですが「どうしても会費制にしたい」という人をダメ出しすることもしません。
そのかわり、ぜひここでお話ししたことを、頭の片隅に置いていただきたいと思います。