協会と会社の違いを理解することは、協会をうまく運営するための必須条件です。
- 協会にあって会社にないもの
- 会社にあって協会にないもの
がいろいろあるからです。
今回は、
「ビジネスモデル」「コンテンツ」という2つの概念を用いて、両者の違いを解説します。
自由が良いとは限らない
小学生にとっての夏休みの宿題の定番、自由研究。
四苦八苦した経験をお持ちの人も多いことでしょう。
そもそも「好きなものを自由に研究しろ」というのが、人間をわかっていないのではないでしょうか。
あまりに自由だと、かえって事が進みません。
ふだんから研究したいテーマを心に秘めている人ならここぞとばかり発奮するでしょうが、そういう人は少数派。
多くの人は何を研究してよいやらテーマを決めるのに時間がかかり、決まらないうちに夏休みの大半が過ぎてしまいます。
夏休み「あるある」だと言えます。
「好きなものを自由に研究しろ」という状態が自由すぎるのがいけないのです。
そんなときに、もし、教師のほうで1人1人にテーマを与えてくれたりすれば、ずいぶん楽になったことでしょう。
たとえば
「○○君はペンギンの生態を調べてみてはどう?」
などと具体的に「枠組み」を与えてくれたとしたら
- ペンギンについて本で調べる
- 動物園に行ってペンギンを観察する
という行動がすぐに思い浮かびます。
さっそく取りかかることができます。
何もかも自由な状態はかえって行動を阻害することがあり、逆に不自由なおかげで物事が進むこともあります。
一般的には、ある程度、条件や枠組みを提供されたほうが、人は行動しやすいのです。
会社は良くも悪くも、「ビジネスモデル」「コンテンツ」ともに自由
会社を作って起業するのは「夏休みの自由研究」にかなり近いと言えます。
ビジネスモデルを好きなように設定することができるため、自由過ぎるのです。
- もの作りをしても良し、
- 店舗を開いても良し、
- ネット通販でも良し、
- コンサルティングでも良し、
- SNSサービスでも良し、
- フランチャイズでも良し、
…。
とにかく自由です。
会社を作って起業する場合はほとんど何もかも自由なので
何をどのようにするのか
どんなビジネスモデルをするのか
は、いちいち自分で考えなければなりません。
たとえばあなたは「ヨガが好きだからヨガ会社を作ろう」と単純に思っていたとしましょう。
ヨガ会社としてどんな事業をするのか
の選択肢は無数にあり、そのなかから自分でどれか選ばなければなりません。
それを考えるだけで時間とエネルギーが消費されます。
「ヨガが好きだからヨガ会社を作ろう」という人にとって、じつはビジネスモデルはどれでもよく、「ヨガを盛り上げるもの」であれば何でもよい、というのが本音でしょう。
なのに、自分でビジネスモデルを考えなくてはならないのです。
これは苦痛です。
「面倒なビジネスモデルは誰かに考えてほしい」
これが本音かもしれません。
そういう人にとって「会社を作る起業」は自由すぎてかえってマイナスになります。
協会は「ビジネスモデル」が不自由、「コンテンツ」が自由
いっぽう、「協会を作る」のほうは、会社を作るのに比べ自由ではありません。
協会のビジネスモデルはパターンがだいたい決まっているからです。
「枠組み」がある、ということになります。
協会だから「会員制度を作る」という大前提があるわけで、これが最初の「枠組み」になります。
また、多くの協会は資格講座をします。
つまり
資格講座を受けた人が会員となり → 会員が増えていく
というビジネスモデルを採用するだけでよいのです。
言いかえると「協会のやり方には定石がある」。
定石があるので、その定石を守っていけば会社よりも、やりやすい。
あとはその定石に肉付けをしていけばよい。
ビジネスモデルよりも肉付けのほうが大事。
「ヨガが好きだからヨガの協会を作ろう」
となれば、
- ヨガに関する講座*
- 会員制度
この2つを作ればよい。
ビジネスモデルそのものは簡単でよいのです。
ただし、
- 講座の内容
- 会員制度の性質
などの「コンテンツ」には、魂の入った独自の肉付けが必要です。
つまり、協会の場合、ビジネスモデルは
「会員制度にし、資格講座をする」
というだけの平凡なものでかまいません。
ビジネスモデルをゼロから考える時間とエネルギーはセーブすればよい。
その代わり「コンテンツ」のために時間とエネルギーを使うことになります。
まとめ
「ビジネスモデル」「コンテンツ」という概念でいうと、協会と会社の違いは以下の表のようになります。
会社 | 協会 | |
ビジネスモデル | 自由 | 不自由だから良い |
コンテンツ | 自由 | 自由だがここが重要 |