はじめに
一般的な日本人の性格や行動傾向を示唆
する「ヒツジ」という概念を紹介します。
この概念を通じて、日本の特徴に基づいた
協会戦略の考え方について解説します。
新しい視点から集団行動を考えるヒントと
して、お読みいただきたいと思います。
日本の教育現場の空気
よく言われるように、一般の日本人は集団の中で自己主張を控える傾向がある。
たとえば学生は授業で挙手・発言しない。
教師が「だれか答えがわかる人」と問いかけても反応がない。
じつは教師のほうも、どうせ反応がないことは百も承知で、一方通行の授業を続ける。
校内では閉鎖的で均質な仲良しグループも生まれやすい。
友だちの言動が気になり、仲間に嫌われることを極端に恐れる。
今も昔も、普通に見られる風景だ。
帰国子女や海外からの転入生には、みんなが周りの目を気にする様子が異様に思えるようだ。
海外の学校では活発に発言するのが普通で、空気を意識して発言を控える考えはない。
学校の外にも帰属集団を持つ子が多いうえ、幼児期からの教育や生育環境の違いも影響しているのだろう。
しかし日本の教育現場では、
「恥ずかしい」「自信がない」「みんなが答えないから自分も答えない」
といった空気が濃密だ。
この空気が学校時代を通じて心に沁みつき、日本人の「デフォルト」となる。
ヒツジとは:見えづらい日本人の大多数
協会総研では、このようなメンタリティを持つ人々を「ヒツジ」と呼んでいる。
「ヒツジ」は、日本の学校教育で育った日本人の平均的な姿を意味する。
ヒツジは日本人の大部分を占めるが、見つかりにくい。
ヒツジは目立ちたがらないため、どこにいるのか存在が見えにくいのだ。
たとえば、YouTube のような動画サイトを見ると、ものすごい数の動画がアップされ、目立とうとしのぎを削っている。
そのため「みんな動画をやっている」と思いこんでしまいがちだが、実際には、動画サイトに動画をあげた経験のある日本人は、1パーセントにも満たない。
ほとんどは「視聴するだけ」の人だ。
動画をアップしている人の情報は手に入りやすいが、視聴するだけの人の情報は手に入りにくい。
なので、私たちはついつい「ヒツジが日本人の大部分を占めることを忘れて、協会を作ってしまう」という間違いをしがちだ。
なので、協会を作る・運営する際には、「ヒツジ・フレンドリー」であることを心がけよう。
まとめ:ヒツジを中心とした協会戦略
ヒツジに好かれることが重要。
「ヒツジ」は消極的に育ってきているが、共感性の高さや共同体意識、学ぶことへの積極性が見られる。
ヒツジは学んだことを経済的に活かすことにはあまりこだわらず、学ぶだけで十分という思考を持っている。
目立ちたくない一方で、新しい情報や知識を得ることには喜びを感じている。
前述したようにヒツジは目立ちたがらないため、どこにいるのか存在が見えにくい。
しかし、その見えにくさを逆手にとり、ヒツジの心地よさや安心感を最優先に考え、その環境を整えることが協会の鍵となる。
協会総研が作った小冊子「協会のセオリー」には、ヒツジを考慮した協会戦略について書かれている。
お持ちの方は多いと思う。
この機会に読み返していただれば、こちらも嬉しい。
「協会のセオリー」
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