はじめに
協会形成の際には多くの課題が浮きあがる。その一つに「誰に何を頼むか」「どう関わってもらうか」という問題がある。協力者が現れることは喜ばしい反面、その課題と対処は悩ましい。ここでは、その問いについて深く掘り下げる。
協力者選定のジレンマ
協会を作ろうとしたとき、協力を申し出てくれる人が何人も現れてうれしい反面、
「誰に何を頼むか」「どう関わってもらうか」
を決めるのに悩むことがある。
たとえば、
- 以前から一緒に教室をしていた先生仲間
- その教室に古くから来ている生徒
- 自分より目上の大先生
- 日ごろ世話になっている知り合いの社長
そのような方々が「協会を作るなら、協力するよ」と言ってくれている。
その申し出はとてもありがたいけれども、さて具体的に何を頼んだらいいのか…、そういう悩みだ。
協会を作るときだけでなく、協会を作った後でも
「協会を作ったらしいね。自分にできることはありますか? 協力しますよ」
との親切な申し出がいくつもあり、その言葉に甘えたいけれど、では何を頼むといいのか、悩む。
協力者が多いのはあなたの人徳なので、それじたいは誇るべきことだが、でも
「誰に何を頼むか」「どう関わってもらうか」
と悩んでしまうのは同じだ。
問題の再検討をしよう
じつはこの状態は「問題設定が間違っている」典型的な例でもある。
「誰に何を頼むか」「どう関わってもらうか」
といったことだけでなく、
「いま自分はなぜ、これを1人で悩もうとしているのか」
「自分はなぜ、この悩みを誰かと共有しないのか」
「自分はなぜ、この悩みを仲間に相談しないのか」
これに気づくことも重要だ。
協会を作ろうとなど考えるような人は、もともと能力が高く、自分ひとりで何でもやってしまう。
なぜなら、できるから。
ひとりでやってしまう癖がついている。
だから誰に何を頼めばよいか、いざとなると判断ができない。
でもこの癖は、協会にとってはあまり望ましくない。
協会は「ひとりではできないことを、みんなで力をあわせて実現しよう」という原理で動くもの。
良い協会に育てたいと思うならば、「自分だけで考える癖」に早く気づき、これを修正しよう。
協力者とのコミュニケーション
話を戻そう。
会社の場合、「あなたの会社を手伝うよ」と言われたら、それは「報酬をくれたら仕事するよ」という意味にほぼ等しい。
だから、わかりやすい。だが、協会の場合は、もう少しやっかいだ。
「あなたの協会を手伝うよ」と言われたら、それは
- 報酬をくれたら仕事するよ
- 面白そうだから、仲間に入れて(お金のことは後で)
- あなたを応援したい(お金はいらない)
どの意味になるのか、わかりにくいからだ。
ちなみに「あなたの協会を手伝うよ」と申し出ている本人も、自分がどの意味で言っているのか、はっきり自覚してないことがままある。
たとえば、ある協会では「ぜひ手伝いたいです!」と熱く言ってくれる人が現れたため、協会SNSでの投稿を頼んだ。
作ったばかりの協会なのでまだ報酬が払えない、と伝えると、「報酬なんていいです。SNS投稿、面白そうなのでやります!」意気揚々と、そう答えてくれた。
なので任せたところ…。何回かは投稿してくれたが、そのうち投稿してくれなくなった。
何か不満なのかと心配になってメールを送ってみたが、返事が来なくなった。
(報酬を渡さなかったから、続かなかったのかな?)とも思うが、本人に連絡がつかないので本音がわからない。
「協会あるある」の1つだ。
ここまで話を引っ張っておいてこういうのもなんだが、
「誰に何を頼むか」「どう関わってもらうか」
には一般的な正解はない。
個別の事情を考えながら、対処することになる。
人情に通じた人になれば、こうしたことにも良い対処ができる。
こうしたことに長けた理事長がいることも確かだ。
まとめ
協会の「誰に何を頼むか」「どう関わってもらうか」の問題は、一般的な正解がないとは言いつつも、それぞれの状況に適した対応策を見つめることが重要だ。
「ひとりではできないことを、みんなで力をあわせて実現しよう」という協会の原理を注視すること。
具体的な対応は個々の事情を鑑みながら、可能な限り最善の決断を下すことが求められる。
「自分だけで考える癖」を修正し、より良い協会を育成するためには、一緒に考え、一緒に解決に動く姿勢が不可欠だと言える。