前回の
「作ったばかりの協会。いったいいつ登記するのか問題【1】」
の続きです。
「〇〇株式会社」「株式会社〇〇」のように株式会社を名乗るためには
登記をしなければなりません。
いっぽう「協会」は登記をしなくても名乗ることができます。
ただし「社団法人」「NPO(※)」を名乗るためには、登記が必要です。
(※)正確には「特定非営利活動法人」
では、さしあたって登記をせずに協会を作ったとして、どういうタイミングで社団法人やNPOになるのがいいのか、参考となるエピソードを作ってみました。
ステップ①
たとえば、とある居酒屋にたまたま、山好きの人たちが通うようになり、そこの常連客が盛り上がってグループを作ったとします。
- 月に1回、居酒屋を貸し切り、集まって飲み会をする
- 年に2回、実際に山に登る
といった活動を始めました。
集まりに名前をつけようという話になり、「クリフ」という名前になりました。
さて、この人たちは「クリフ」を作ったことを役所に届出するでしょうか?
「クリフ」を作る前に国や自治体の許可が要るのでしょうか?
答は、
「届出はしない(不要)」
「許可も不要」
です。
こうしたサークルのような団体を「任意団体」と呼びます。
任意団体を作るのに、届出や認可は関係ありません。
ステップ②
しばらくたち、クリフのメンバーは初心者向けの登山教室をときどき開く
ことにしました。
ついでに名前も変えて「クリフ健康登山協会」とすることにしました。
「協会」を名乗ることにしたわけです。
さて、この人たちは今度こそ役所に届出するでしょうか?
「協会」という言葉がつくからには国や自治体の許可が要るでしょうか?
答は、
「今回も届出はしない(不要)」
「許可も不要」
です。
登山教室を開くようになったとしても届出や許可は関係ありません。
つまり「クリフ健康登山協会」は相変わらず「任意団体」なのです。
ステップ③
「クリフ健康登山協会」が開催する登山教室は回を重ね、参加者もそこそこ増えました。
あるとき、こんな電話がかかってきました。
「子どもが登山教室に行きたいって言うんですけど、おたくは学校法人?」
「いえ、違います」
「では会社ですか?」
「いえ、違います。任意団体です」
「任意団体? なんだか怪しいねえ。ちゃんとやってるですか?」
電話は切れてしまいました。
この件をきっかけに、
「いつまでも任意団体というわけにはいかない」
「ちゃんとやっているのに、怪しいと言われるのは悔しい」
という話になり、
「きちんとした団体になろう」
ということでメンバーが合意しました。
相談のすえ、「社団法人になろう」ということに決まりました。
社団法人であれば、「なんだか怪しいねえ」とは言われないように思えますし、「協会」という名前にもなじむように思えます。
さて、この人たちはいよいよ役所に届出するでしょうか?
はい、答は、
「届出をする必要がある」
です。
この届出のことを「登記」といいます。
登記を終えた結果、「クリフ健康登山協会」は、「一般社団法人クリフ健康登山協会」になりました。
(社団法人には「一般社団法人」と「公益社団法人」がありますが、ここでは説明を省略します)
まとめ
最初から登記をして協会活動をするのももちろん「あり」です。
ですが今回の例のように、当面は任意団体のままで活動し、ある程度規模が大きくなってきた時点で登記をするのも、1つの立派な考え方です。