「人の感じ方や行動は、自己認識に大きく影響される」
という話を聞いた。
ようするに、誰かになりきって演じると、その人の能力に近づく、という話だ。
たとえば
- 有名な演奏家のようになったつもりで演奏すると、実際に演奏が上手くなる
- 著名な数学者のように演じると、数学のスコアが向上する
- チェスのチャンピオンになりきると、腕前が上がる
というような実験例がある。
この現象は人間の驚くべき自己変革の力を示している。
もし仕事で成功したいと思っているならば、誰か成功している人物の姿をイメージし、自分自身をその人物に置き換えることが役立つかもしれない。
自分自身を他の人に見立てるというのは、実際にはかなりの訓練が必要だ。
すぐにはできないかもしれない。
しかし、たとえ完全にはなりきれなくても、「自分はその人物になった」と口で唱えるだけでも、行動が変わる可能性があるという。
この話を聞いて、思い出したことがある。
欧米の学校のなかには、試験の前に学生にモーゼの十戒などの倫理的な原則を音読させるところがあると聞く。
なぜそんなことをするかというと、カンニングが減るから。
熱を込めて読むか淡々と読むかは、あまり関係がないらしい。
読むか読まないかで結果が大きく違う。
人は、自分が宣言した原則や価値観に従う傾向が強い。
その原則や価値観がもとは他人のものであっても、声に出して読むことで自分のものとして意識することができるようだ。
このアイデアは、協会の運営にも使えるように思う。
協会についての理解や協会に対うる愛着を深める手法として、活用できそうだ。
たとえば、協会の理念やミッション、価値観などを会員が音読する場を作る。
声に出して自分たちが所属する協会の理念を読むことで、気持ちを高める。
少々昭和の会社みたいなやり方だが、効果はバカにできない。
会社の社員は毎日職場に来ているから毎日音読できるが、会員はふだんはバラバラで講座やイベントのあるときしか集まらない。
しかしそれでいい。
講座やイベントで、会員が音読するのでも十分だ。