意外に感じるかもしれませんが、
「ビジネス知識の豊かな人ほど、協会を作るのが下手」
という傾向があります。
一般的には「コンサルタント=ビジネス知識の豊富な人」ですね。
それに反して「ビジネス知識の豊かな人ほど、協会を作るのが下手」なのであれば、
- コンサルタントは協会を作るのが下手
- コンサルタントは協会を作る際にはあまり役に立たない
という結論になります。
なぜそうなのでしょうか?本当に、協会にはコンサルタントが不要なのでしょうか?
今回は、会社のコンサルタントと協会のコンサルタントの根本的な違いについて、解説します。
ビジネス知識の豊かな人ほど、協会を作るのが下手な理由
ビジネス知識が邪魔をする
「ビジネス知識の豊かな人ほど、協会を作るのが下手」という説は、実際にもよく当たっています。
コンサルタントの持つ豊富なビジネス知識が、しばしば邪魔をするからです。
ビジネス知識がすべてダメだということではなく、実際にはむしろ使えることのほうが多いのですが、肝心なところで邪魔をします。
たとえば「入会するメリットがないと人は会員にならないから、メリットを強調しなさい」とビジネス知識の豊かなコンサルタントの多くは常識のようにアドバイスします。
ですが、それは間違いです。
その言葉を鵜呑みにして失敗した事例は枚挙にいとまがありません。
そもそもあなた自身はメリットが欲しいから協会を作るのでしょうか?
もちろんメリットはあったほうが良い。
でもそれが主な理由ではないはずです。
あなたが協会を作りたい理由は、
「自分が夢中になっていることを大勢の人に広めたい。この素晴らしさを人々に伝えたい」
ということではありませんか?
では、あなたはどうして夢中になっているのか。
なぜ素晴らしいのか。
その本当の理由こそが、あなたを協会作りに駆り立てるものであり、かつ、将来の会員が入会する最強の動機になります。
協会の場合、メリットが最大の動機ではないのです。
協会のためのビジネス知識になっていない
ビジネス知識の豊かな人ほど協会を作るのが下手なのは、そのビジネス知識が多くの場合「協会を前提としたビジネス知識」ではなく「会社を前提としたビジネス知識」だからです。
両者は似ているところも少なくないですが、肝心なところが大きく異なるのです。
「会社の常識と協会の常識は違う」ということでもあります。
主に、こういうところが違います。
- 「顧客」と「会員」は同じではありません。行動原理や行動感覚が異なります。
- 株主のいる「会社」と、株主のいない「協会」も、同じではありません。行動原理や行動感覚が異なります。
だから、もし今、ビジネス知識豊かなコンサルタントの方が、どこかの協会のサポートをしようとしているなら、
クライアントが今取り組んでいることは「会社」ではなく「協会」なのだ
という自覚を持ってアドバイスしてあげてほしいと思います。
コンサルタントの違い
会社と協会の違い
会社と協会を比べてみると
- 会社:顧客が払ってくれる「商品代金」「サービス料金」で、運営されています。つまり顧客は、会社が提供する商品やサービスに満足した結果、お金を払ってくれます。
- 協会:会員が払ってくれる「会費」、または受講生が払ってくれる「受講料」で、運営されています。会員や受講生は、協会の理念に共感を覚えた結果、お金を払ってくれます。
言い換えれば、
- 会社にとって大事なのは、「商品やサービスを顧客がどう評価してくれるか」ということです。
- 協会にとって大事なのは、「協会の理念や姿勢を会員や受講生がどう評価してくれるか」ということになります。
このことを踏まえて、会社のコンサルタント、協会のコンサルタント、両者を比べてみましょう。
会社のコンサルタント vs 協会のコンサルタント
協会に対するコンサルティングと、会社に対するコンサルティングは違います。
なぜなら、メンタリティが違うからです。
<会社のメンタリティ>
- 競争して勝ちたい
- 金持ちになりたい。
- ライバルに勝ちたい。
<協会のメンタリティ>
- 好きだからがんばれる。
- 社会貢献をしたい。
- 関わる人みんなと共存したい。
ここを理解せずに同じような感覚で行うと、コンサルティングは失敗します。
たとえば
「認定講師を育成し、認定校制度を設け、協会はフランチャイズ本部となってロイヤリティ収入を得る」
という事業モデルの協会がときおりありますが、残念ながらこの方式は失敗例が多く、あまり評判がよくないようです。
(警戒心をこめて「協会ビジネス」と呼ばれることがあるようです)
フランチャイズ型の協会の評判がよくないのは、この事業モデルが悪いからではありません。
事業モデルじたいは、じつは案外、協会に向いています。
問題は、フランチャイズ型の協会の多くがが、「会社のメンタリティ」で運営されていることです。
すなわち、
「認定講師となってお金を稼ぎたい」「認定校となってお金を稼ぎたい」
という人たちを会員として集めてしまっている。
さらに、それを統括するのが
「ロイヤリティをもらって楽に稼ぎたい」
という協会本部の人たちである。
という、会社のメンタリティそのものの、行動原理や行動感覚になっています。
ここが問題なのです。
協会のコンサルティングを行うときは、この「会社と協会ではメンタリティが大きく違う」という点を忘れないでください。
協会のコンサルタントになるには
どうしたら「協会のコンサルタント」になれるのでしょうか?
コンサルタントを名乗るのは自由ですので、
「名乗ればよい」
というのも1つの答です。たとえば名刺に
と書くだけでも「協会コンサルタントを名乗っている」ことになるでしょう。
とはいえ、名乗るだけのバックグラウンド(知識や経験)があることを示すことができれば、それに越したことはありません。
それには、
- 自力で協会のことを勉強(経験)する
- 協会総研をバックグラウンドにする
という2つの方法があります。
自力で協会のことを勉強(経験)する
協会を実際に立ち上げ、運営してみるという方法です。
すでにあるどこかの協会に入会し、会員の立場で協会を経験する、という方法もありますが、運営側で何が起きているかを経験するには、
- 協会の立上げ
- 協会の運営
に直接関わるほうが勉強になります。
しかし、「協会を実際に立ち上げ、運営してみる」といっても、自ら主宰者(理事長)になるという意味ではありません。
それでは「コンサルタント業」ではなく「理事長業」が本業になってしまいます。
あくまで、協会コンサルタントに必要な経験を得るために協会を利用する、というスタンスでなくてはなりません。
具体的には
- 協会を作ろうとしている人に協力する
- ただし自分は理事長になるのではなく、理事として関わり、経験をする
あるいは
- 一定期間、事務局長として関わり、経験をする
という方法になります。
スタートアップ時から入るインターンシップのようなものですね。
協会総研をバックグラウンドにする
協会総研では、
- 「協会知識検定」を活用する
- 「協会スタートアップ講座」をコンサルタント養成目的で受けてみる
という方法を用意しています。
<協会知識検定>
「協会」に関する基礎知識を確認できるオンライン検定です。
協会のコンサルタントを名乗るだけのバックグラウンド(知識や経験)があることを示すために、活用できます。
<協会スタートアップ講座>
協会専門の起業講座です。
協会設立準備から設立後の運営、トラブルシューティングまでカバーしています。
まとめ
「ビジネス知識の豊かな人ほど、協会を作るのが下手」と言われますが、それは1つにはビジネス知識が邪魔をする場合があるから、もう1つには協会のためのビジネス知識になっていないからです。
会社と協会は行動原理や行動感覚が大きく違います。
したがって会社のコンサルタントと協会のコンサルタントも考え方や感覚が違うのです。
協会のコンサルタントになるには、
①自力で協会のことを勉強(経験)する
②協会総研をバックグラウンドにする
という2つの方法があります。