客様は神様、という言い方があります。
会社にとって顧客はとても大切な存在だということを表しています。
しかし協会にとっては話が違います。
会員は大切な存在であることは同じですが、顧客ではありません。
つまり、ゲストではないということです。
今回は協会と会員の関係について解説します。
会社と顧客
多くの場合、会社と顧客のあいだには明確な境界線が存在します。
会社の商品やサービスにお金を払った人は「顧客」になりますが、お金をはらったからといって
「自分は会社の仲間になった」
とは考えないのがふつうです。
図で示すと、以下のようになります。
「顧客」は「会社」の外側に存在し、内側に入ることはありません。
協会と会員
協会と会員のあいだには、明確な境界線は存在しません。
協会に入会した人(多くの場合、協会の資格講座を受講し、資格を得た人)は「会員」になります。
このとき、会員のなかには
「自分は協会の仲間になった」
と感じる人が多いのです。
図で示すと、以下のようになります。
協会と会員のあいだに線引きはありません。
「会員」は、自分と「協会」にあいだにそれぞれ思い思いの距離感を持ちます。
「自分は協会に近い」と思う人は近いところに、「自分は協会とさほど近くない」と思う人は離れたところに、ぞれぞれの居所を置きます。
会員はゲストにあらず
第三者の視点
協会にとって、会員は「内輪(うちわ)の人間」となります。
これは、協会と会員が互いにそう認識するだけではありません。
第三者、つまり外部の人も、会員と協会は同じ枠の中にいると見なします。
たとえば、行儀の悪い会員がいると、協会の評判が落ちることがあります。
学生が問題を起こすと、学校の評判が落ちるのと同じです。
これは、外部の人から見ると、会員と協会は「同じ穴のムジナ」だからです。
したがって、協会としても、会員をゲストのように扱うわけにはいかないのです。
行儀の悪い会員に対しては是正することが必要です。
言いにくいことも言わなければなりません。
ここで「行儀が悪い」というのはニュースになるような問題を起こすという意味とは限りません。
(さすがにそこまで行儀の悪いケースはめったに見かけませんが)
たとえば
- ブログを書くときに悪気もなく他人の著作権を侵害してしまったとか
- 協会に紹介してもらった活動なのにドタキャンするとか
- 自分で教室を開くのはよいけど間違ったことを平気で喋ったりとか
そういった行為です。
実際、こういうケースはよくあります。
会員の視点
会員のほうも、協会に対して
「自分のことをゲストのように(よそよそしく)扱ってほしい」
とは思っていません。
「仲間として(親密に)見てほしい」
と無意識に期待しています。
積極的な会員であれば、協会のことを手伝いたいとすら思っています。
「あなたはゲストなんだから、何もしなくていいのよ。いいから座ってて」
とは、言われたくないのです。
そういう意味でも、会員をゲスト扱いするのは間違っているということです。
まとめ
会社にとっての顧客と、協会にとっての会員は、性質が違います。
会社と顧客は明確に距離を保っていますが、協会と会員のあいだには明確な距離がありません。
第三者にとっても、協会と会員は「同じ集団」に見えます。
したがって、会員をゲストのように扱うのではなく、仲間のように扱うのが適切です。