「秘匿」と「伝播」
協会視点でいうと、資格講座は、学んだ人のとらえかたによって、2つのタイプに分かれます。
1つは、
「しめしめ、良いことを教わった。自分だけの秘密にしておこう」
と、秘匿されるもの。
習い事や武道などで「秘伝」「奥義」と呼ばれるものもこの部類になります。
もう1つは、
「素晴らしいことを教わった。こんな大切なことを黙ってはいられない。みんなに伝えなければ。広めなければ」
と、伝播されるもの。
(「ミーム」と呼ばれるものに近いかもしれません)
協会は「広めたいモノ・コト」があるから活動しているので、秘匿性のある講座(隠したくなる講座)よりも、伝播される講座(伝えたくなる講座)のほうが当然、協会には合うといえます。
「素晴らしいことを教わった。こんな大切なことを黙ってはいられない。みんなに伝えなければ。広めなければ」
と会員が思ってくれる協会は、成長します。
感情の矛盾
ところが奇妙なことに、
- もともと「多くの人に広げたい」という動機で講座を作っていながら
- 途中から「真似されたくない」という反対の感情がむくむく湧いてきて
- 広めたいのか広めたくないのか、自分でもよく分からなくなった…
理事長さんがそんな状態に陥るケースをまあまあよく見かけます。
ようするに
「広めたいけど真似されたくない」
という感情なのでしょう。
協会側がその感情にとらわれてしまうと、
「協会の講座で学んだことを、協会の許可なしに広めてはいけない」
といった変なルールを作ったりします。
「素晴らしいことを教わった。こんな大切なことを黙ってはいられない。みんなに伝えなければ。広めなければ」
と、せっかく会員が思ってくれているのに、その活動に待ったをかけたりします。
協会がそんなだったら、受講する側も、広めてよいのか、広めてはいけないのかよく分からず、活動が止まってしまいます。
「広がる=真似される」ではない
実際には、
「広がるけど真似されない」
という講座を作ることは、可能です。
理事長さんが
「広めたいのか広めたくないのか、自分でもよく分からなくなった…」
という感情になってしまうのは、「広がる」と「真似される」を混同しているから。
ここが混乱した状態だと、
- 広がる=真似される
- 真似されない=広がらない
という思い込みの悪循環から脱出することはできません。
「広がる」と「真似される」のは似ているようで、大きく違います。
この違いを理解すれば、
「広めたいのか広めたくないのか、自分でもよく分からなくなった…」
みたいなことにはなりません。
自分(の協会)にとって
「広がる」
とはどういうことなのか?
自分(の協会)にとって
「真似される」
とはどういうことだろう?
まずはここをよく整理してみる必要があります。
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