はじめに
この記事では、教育や指導の場で頻繁に見られる「インポスター症候群」に焦点を当てます。
協会や団体の指導者がしばしば直面するこの問題は、彼らの指導効果に対する自信を損なわせることがあります。
会員や生徒が教えられたことをうまく活かせない現象と、それに伴う指導者の罪悪感について深く掘り下げ、その背景と対策を解説します。
じつは気づいているあの現象
誰かに何かを教えてあげて、その人の役に立ったときの感激はひとしおですね。
協会をやっている人、教える立場の人も、
「会員には協会の講座で学んだことを活かして幸せになってほしい」
そう願っているでしょう。
ですが、あなたが良心的にそう願っているにも関わらず、その思いは会員になかなか届かなかったりします。
現実には、協会の講座で学んだことを
- 活か「さ」ない会員
- 活か「せ」ない会員
はきわめて多い。
おそらくあなたはとうにこれに気づいていると思います。
「笛吹けど踊らず」という感じに近いです。
協会特有の罪悪感
「笛吹けど踊らず」会員が多いことに対し、ある種の「罪悪感」を抱く人もいます。
- せっかく教えてあげたのに会員がそれを活かそうとしないのは自分(協会)が悪いんじゃないか
- 自分(協会)には教える力がないんじゃ ないか
- 自分(協会)が教えていることには本当は価値がないんじゃないか
- 自分(協会)は会員を結果的にだましてしまっているんじゃないか
- 自分(協会)は評価されるに値しないんじゃないか
そういう罪悪感です。
あなたがサイコパス的な人であれば、あまりこういう感情を持ちません。
しかし繊細さんであれば、この罪悪感にしばしば悩まされるようです。
じつは、こうした罪悪感には
「インポスター症候群」
という名前がついています。
名前がついているということは、経験者が多いということでもあります。
罪悪感が病と化す
「インポスター症候群」とは…
あなたは会員に一生懸命教えているのに、会員のほうはといえば、教えても、背中を押しても、煽っても、思うように活動してくれません。
活動したいと口では言いながら、いつまでも動かない会員。
そもそも活動の意志が感じられない会員。
そういう「笛吹けど踊らず」会員にややイライラしながら接し続けていると、「インポスター症候群」になりやすい。
協会の主催者がかかりやすい「インポスター症候群」とは、
活動自体はそれなりに回っているにもかかわらず、「自分はじつは誰の役にも立っていない んじゃないか」と、抱かなくてもよい罪悪感を抱く
そんな心理になることです。
たとえ会員が順調に増えていても、「インポスター症候群」は発症します。
会員が思うように活動してくれないことが原因だからです。
防ぎかたと治しかた
しかし実際には、会員が思うように活動してくれないのは、べつにあなたのせいなどではありません。
「活かさない・活かせない会員問題」
「笛吹けど踊らない会員問題」
には理由があります。
理由が分かれば、インポスター症候群から自分を解放できるかもしれません。
そのためには、考え方をすこし変える必要があります。
処方その1
そもそも会員の大部分は、思うように活動してくれないものです。
どの協会でも、このへんは同じです。
あなたの協会だけが悩んでいる問題ではありません。
協会総研の経験値でいうと、
「活動する明白な意思のある会員」
は全体の5パーセントしかいません。
のこりの95パーセントは
「活動の意思が明白ではなく、なんとなく協会で学んでいる会員」
になる。
それなりに回っている会員制度であれば、だいたいどこもこういう比率になるので、ある意味、これは自然現象です。
健全な状態といってもよいでしょう。
「活動の意思が明白ではなく、なんとなく協会で学んでいる会員」を「活動する明白な意思のある会員」に変えるのがいかに難しいか。
これは、子供に勉強させるために世の親がどれだけ苦労しているかを考えれば、理解できるのではないでしょうか。
処方その2
会員への期待を少し変えてみましょう。
「会員が思うように活動してくれない」とあなたが悩んでいるときの、「期待」の基準や種類を変えてみるのです。
あなたは会員に、どのレベルの活動を期待しているでしょうか。
どんな活動内容を期待しているでしょうか。
もしかして、
「学んだことを活かして起業してほしい」
などと、実業的なこと、派手なこと、難易度高めのことを期待していませんか。
だとすれば、95パーセントの
「活動の意思が明白ではなく、 なんとなく協会で学んでいる会員」
には、その期待は重すぎます。
その基準を満たせる会員は、実際にはあまりいません。
あなたにはできますが、「彼ら」の多くにはできないのです。
けれども、「期待」の基準や種類が
- 学んだことを家族のために活かす
- 学んだことを活かして友人を助ける
- 学んだことを活かして近所から頼られる
といったものであれば、できます。
「彼ら」は、
「学んだことを活かして起業しよう」
は無理でも、
「学んだことを活かしてまわりの人の役に立とう」
はできる。できるし、したいと思う。
あなたから見ると
「実利がないのにそんなことをして、なにが楽しいのか」
ということになるかもしれません。
でも多くの会員にとっては、それこそが求めているものです。
なので
- 学んだことを家族のために活かす
- 学んだことを活かして友人を助ける
- 学んだことを活かして近所から頼られる
ような指導をしてあげたほうがよいです。
そういう期待のもとに会員に働きかければ、会員も動きやすくなります。
まとめ
この記事を通じて、教育や指導における「インポスター症候群」の現実とその対処法を探りました。
会員や生徒が学んだことを活かせない現象と、それによって生じる指導者の罪悪感は決して個人の問題ではなく、より広い文脈で理解されるべきです。
この問題への洞察と実用的な対策を提供することで、協会や教育機関の指導者がより効果的に役割を果たし、自信を持って進む手助けをすることを目指しています。