はじめに
講座を受講し、所定の試験に合格すると、資格がもらえる。
合格通知とともに、資格認定証が送られてくる。
協会の資格講座はだいたいこのような構造になっています。
多くの場合、資格認定証には有効期限が書かれています。
有効期限が近づくと、資格更新のための手続きをすることになります。
今回は、この資格更新手続きの考え方について説明します。
そもそも資格更新は必要?
更新を必要としない資格にすることは可能です。
いわゆる「永久資格」です。
そのような資格は実際にたくさんあります。
永久資格の場合、資格認定証にも有効期限が書かれないことになります。
たしかに永久資格は協会側にとって管理が楽です。
資格保持者にとっても面倒な更新手続きがありません。
双方にメリットがあります。
しかし別の観点からいうと、永久資格は「会員を放置している」ことと変わりありません。
いっぽう、資格に有効期限を設定することには以下のような利点があります。
利点その1。
知識や情報は、日に日に新しくなっています。
資格保持者のレベルを下げないために、「更新する」というプロセスがあるのは良いことです。
利点その2。
有効期限があることで、協会と会員とのあいだに定期的にコミュニケーションが生まれます。
疎遠になっていた資格保持者とふたたび交流することができる、そういう機会になります。
以上を大局的に考えると、永久資格にするよりも資格更新があるほうが、協会・会員双方のメリットが大きいのではないでしょうか。
資格更新の期間はどのくらいがよい?
期間の設定は自由です。
実際には
- 毎年更新する(=1年更新)
- 2年ごとに更新する
- 3年ごとに更新する
のどれかを採用している協会が多いようです。
1年より短くなると(たとえば半年更新など)、煩わしいと感じられる可能性が高まります。
3年より長くなると「会員を放置している」期間が長くなります。
どちらも、あまり推奨できません。
なお、たとえば
「8月1日に資格を取った人の有効期限を7月31日にする」
という考え方と、
「資格を取った日が何月何日であるかにかかわらず、全員、12月31日を有効期限とする」
という考え方があります。
前者は、資格取得日によって更新期日はバラバラです。
後者は、全員、同じ日に資格を更新することになります。
これも、どちらを採用するかは自由です。
資格更新の費用はいくらに設定するのが適切?
資格更新の費用を高く設定すれば、協会は経済的にプラスになりますが、資格保持者にとっては好ましい話ではありません。
資格更新の費用を低く設定すれば、協会の経済的なメリットは少なくなりますが、資格保持者にとっては歓迎できる話です。
両者を総合的に比較すると、後者(更新費用が低い)のほうが協会の運営には良いように思われます。
資格講座の受講料は高いのが普通です。
受講者は、受講料が高いことに「慣れている」と言えます。
受講料が高いことに対して受講者が不満に思う度合は、じつはそれほど大きくありません。
ところが、資格の更新費用が高いことに対しては、資格保持者は「慣れていません」。
更新費用がほんの少し高いだけでも、資格保持者が抱く印象は非常に悪いものになります。
受講料が高くて不満に思う人は案外少なく、更新費用が高くて不満に思う人は案外多いのです。
ですので、更新費用は無料にする必要はありませんが、事務手続き(新しい資格認定証の作成・送付など)に必要な最小限の金額に抑えておくことをお勧めします。
その代わり、受講料をしっかり高めに設定し、利益を確保しておくのがセオリーです。
資格更新の手続きはどのように設定する?
資格更新の手続きには
- 更新費用の支払いのみで更新できるパターン
- 更新費用の支払いに加え、何らかの課題提出(レポートなど)を要求するパターン
- 更新費用の支払いに加え、あらためて試験をするパターン
があります。
むろん、どのパターンを採用するかは自由です。
とはいえ、お金さえ払えば更新できるというのも生臭い感じがしますし、かといってあらためて試験をするというのも多少やりすぎ感がありますね。
「甘過ぎない、厳し過ぎない」という「ちょうどよさ」「中庸」を良しとするのであれば、2番目の
「更新費用の支払いに加え、何らかの課題提出(レポートなど)を要求するパターン」
が推奨しやすいように思われます。
興味深いことに、レポートなどの課題提出は量が多くても大丈夫なようです。
前述したように、更新費用がほんの少し高いだけでも資格保持者が抱く印象は非常に悪いものになります。
ところが、課題提出の量が多いことに対しては、資格保持者はさほど抵抗を感じません。
面倒くさいと思わないようなのです。
このことから
「課題提出は厳しいけれども、更新費用は安い」
という設計が、最善なのでしょう。
資格更新を忘れた人の扱いはどうする?
まず、そもそも更新を忘れないように、リマインダーを出しましょう。
すなわち、資格保持者に対して「更新期限が近づいていますよ」という連絡をするようにします。
それでも忘れる人はいます。
更新手続きをうっかり忘れた人に対しては、むやみに失効させたりはせず、期限が過ぎた後でも復活できるようにしてあげましょう。
医師免許のような資格でこんなゆるい管理をされては困りますが、ふつうの民間の資格講座であれば問題ありません。
まとめ
資格更新には
「資格保持者のレベルを下げない」
「協会と資格保持者とのコミュニケーションの機会になる」
という利点があります。
資格更新の期間は1年更新、2年更新、または3年更新のどれかにするのが一般的です。
資格更新の費用は最小限に抑え、その代わり、何らかの課題提出(レポートなど)を条件に加え、資格保持者にしっかり勉強してもらうようにします。
資格更新を忘れた人でも後日復活できるようなルールにしておきましょう。