「協会を作った最初のころは会員が集まっていたのに、だんだん増えなくなった。伸び悩んでいる」
という相談をしばしば受けますが、多くの場合、「ステイタス・クォ現象」が見受けられます。
今回は「ステイタス・クォ現象」について説明します。
宗教の例
まずは宗教を例に考えてみましょう。
(このタイミングで宗教の事例を使うのは微妙ではありますが…)
世の中にはいろんな宗教があり、社会から好意的に評価されている、そういう宗教もあれば、うさん臭いとか怪しいとか危険とか思われているものもあります。
社会問題になるようなものもあります。
要するに玉石混交、いろいろありますが、それはさておき、多くの宗教に共通しているのは
信者が増えることを他の信者は嫌がらない
という点でしょう。
「これ以上、信者が増えては困る」そんな信者がいる宗教はあまりありません。
基本的には新しく信者が生まれるのは、既存の信者にとって迷惑ではありません。
弁護士や歯科医の例
いっぽう、たとえば弁護士の場合、花形職業のひとつではありますが、今では競争が激しくなっており、「司法試験に受かればあとは安泰」という時代ではなくなっているようです。
その結果
「弁護士が増えるのをこころよく思わない」
昨今はそういう弁護士もいるようです。
同様のことが歯科医にも言えるようです。
歯科医も花形職業のはずですが、「コンビニの数より多い」と言われるまで歯科医院が増えたため、人気歯科医とそうでない歯科医の格差が広がっており、ワーキングプア化する歯科医もいるほど。
その結果
「歯科医が増えるのを迷惑に感じる」
昨今はそういう歯科医も少なくないそうです。
つまり、
- 既存の弁護士にとって、弁護士仲間が増えることは嬉しくない。
- 既存の歯科医にとって歯科医仲間が増えることは歓迎できない。
そんな状況が生じていると聞きます。
ステイタス・クォ現象
このように、
- かたや、宗教の信者は「信者が増えるのを嫌がらない」
- かたや、弁護士や歯科医は「同業者が増えるのを嫌がる」
となっています。
この違いはどこから来ているのでしょうか。
その答はもうお分かりと思いますが
- 宗教の場合、信者どうしは仲間でありライバルではない
- 弁護士や歯科医の場合、同業者はライバルであり仲間ではない
というところから来ています。
この「構造的な違い」があるために、宗教はいくらでも大きくなることができますが、弁護士会や歯科医師会はある程度以上は大きくなりません。
宗教の場合、人数が増えることに対し内部からブレーキがかかることはほとんどないのですが、弁護士会や歯科医師会は、一定の規模以上
に人数を増やそうとすると、内部からブレーキがかかります。
このように、人数が増えることに対し内部からブレーキがかかることを
「ステイタス・クォ現象」
といいます。
まとめ
この話を協会にあてはめてみてください。
あなたの協会の会員さんどうしは、仲間でしょうか?
それともライバルでしょうか?
あなたの協会の既存会員さんは、新しく会員が増えることを好意的に受け入れてくれますか?
それとも「これ以上ライバルが増えてほしくない」と思うような抵抗感があるのでは?
ステイタス・クォ現象が起きていませんか?
なかなか広がらない原因は、もしかするとこういうところにあるかもしれません。