協会には理念が必要です。
理念は「立派なもの」、すなわち世のため人のためになるようなもの
が良いです。
たとえば
「プラスチックごみのない世のなかを作りたい」
というようなもの。
その理念の実現のため、海辺などでプラスチックごみを拾う活動を全国的に展開する。
いかにも協会らしい姿です。
ですがその活動資金はどうするのでしょうか?
活動資金が工面できなければ協会も動けません。
よくある対策案としては
賛同してくれる企業を「法人会員」「賛助会員」などの扱いにし、ひとくち10万円くらいの会費を集める
というものがあります。
会費と言っても、実質は「寄付」のようなものですね。
でも企業だって簡単にはお金を出してくれません。
なので、協会の理事長が企業を何社も何社も訪問し、寄付のお願い活動をして回る羽目になります。
要するに「営業」です。
だけど、ごく少数の営業上手な理事長はたくさん寄付を集めますが、大多数の営業苦手な理事長は集められない。
いずれにしても営業に時間が割かれ、理事長自身は海辺などでプラスチックごみを拾う活動に参加できない。
すなわち
理事長が協会の本業に参加できない
という結果になりかねません。
▽
そこで、発想を転換してみましょう。
寄付集めに頼らず、
海辺などでプラスチックごみを拾う活動が、直接お金を生む
すなわち
理念そのものがお金を生む
そうなるように考えてみるのです。
理屈はともかく、本当にある事例を紹介しましょう。
コロナ以前の話ですが、オランダで、
「運河のほとりでプラスチックごみを拾う観光ツアー」
が絶大な人気を誇っていました。
このツアー、参加費が日本円で3,000円ほどかかります。
要するに
「3,000円を支払ってごみ拾いに参加する」
そんなツアーです。
世の中に多い「清掃ボランティア活動」は、地元の有志が参加するものがほとんど。
たとえば日本では「富士山清掃ツアー」などが行われていますが、参加者は近隣の人が多い。
観光客に大人気か?といえば、そうでもないようです。
それに対し、このオランダのツアーは参加者のほとんどが観光客。
社会奉仕活動ではなく純粋に観光として、レクリエーションとして楽しんでいます。
社会奉仕活動をエンターテイメントに変えた結果、参加費を払ってでも参加したいという人気ツアーになり、ビジネスレベルの収益事業に育ちました。
この「有料ごみ拾いツアー」についてもう少し書いておきます。
参加者は、主催側が作ったオリジナルデザインのお洒落なボートに乗り、案内係から挨拶を受けます。
案内係から、
- 地元民としてのおすすめ
- 観光の裏情報
などの話を聞きながら運河をクルーズし、運河に浮いているプラスチックごみを手にした網で必死に回収します。
参加者が必死になる理由は、ボートツアーが終わり上陸した後、同時刻にツアーをした他のボートと回収したごみの「質」と「量」を比べ、最も優秀だったチームが表彰されるから。
回収されたプラスチックは、一部は、新たにツアーボートとしてお洒落な姿に生まれ変わります。
また一部は、スタイリッシュな家具にも生まれ変わります。
自分で拾ったプラスチックごみで作られた家具をツアー参加者が注文できるようにもなっています。
▽
このツアーは
- 運河がきれいになるという充実感(地球の役に立った感)
- 他にはない観光情報
- 資源集め競争としてのゲームの楽しさ
- 集めたゴミがデザイン性の高いサステイナブルなボートや家具に生まれ変わる
いわば、ひとつぶで何度も楽しめるところが人気の秘密のようです。
学校の遠足や子連れ旅行にも人気で、「楽しい上に、教育効果が高い」という評判のようです。
もちろん主催者側にとっては「儲かる事業」になっています。
参考になるかもしれませんね。