昔は一般的に
「起業する」=「会社を作る」
という感覚だったと思われますが、昨今は
「会社を作る起業」
「協会を作る起業」
どちらも「あり」の認識になっています。
どちらも設立するだけなら短期間で簡単にできるようになりました。
では会社と協会、どちらを作るのがよいのでしょうか?
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会社はほぼあらゆる事業にそこそこ向いています。
これに対して協会には
- 向いている事業
- 向いていない事業
の区別があります。
向いていない事業を協会でやろうとするとたいてい失敗します。
けれども向いている事業をする場合は協会は大きな力を発揮します。
この「向いている」「向いていない」は、法律上の問題ではありません。
その協会と接したときの、人々の感情の問題です。
「協会らしさが出ているかどうか」
と言いかえてもよいでしょう。
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協会に向いていない事業を無理やり協会という形でやろうとすると、人々は「反感」や「気持ち悪さ」を抱きます。
反感のケースとしては、たとえば協会がダイエット器具をさかんに販売していると
「あの協会は協会の皮をかぶってお金儲けをしている。結局ダイエット器具を売りたいだけだ」
などと思われがち。
会社がダイエット器具を販売しても反感は生じないのに、協会が同じことをすると反感が生じやすいのです。
気持ち悪さのケースはもっと複雑です。
これは理念を作るのを怠った協会によくあるのですが、
- なぜその活動をしているのか動機がよく見えない
- 活動内容に一貫性がない
そういう協会に出会うと気持ち悪い。
当の本人たちは一貫性があるつもりで動いているのかもしれませんが、それが外部に伝わらないために、気持ち悪い集団に見えてしまいます。
動機が分からない行動を「気持ち悪い」と感じるのは、おそらく人類共通の心理でしょう。
会社の場合は、動機を無理に用意する必要はありません。
「なぜその事業をしているのですか?」
「なぜなら儲かると思うからです」
これで済みます。
気持ち悪くなりません。
しかし協会の場合は、「儲かるから」という動機を最初に挙げるには勇気がいります(笑)。
「儲かるから」以外の動機がほしいところです。
そうでないと、気持ち悪くなります。
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ここまで読むと、
「協会って面倒くさいな」
そんな感想を持つ人もいるかもしれません。
たしかに面倒くさいです。
それがイヤな人は協会を作らずに会社を作ったほうがよいでしょう。
前述したように、会社はほぼあらゆる事業にそこそこ向いているので、会社にしておけば「無難」ではあります。
何をやっても気持ち悪くならないし。
ですが「協会らしさが出ている協会」は、人々から好意をもって受け入れられやすく、広く強く共感されやすい。
会社にはない、協会ならではの強みです。
「会社らしい会社」に対しては人々の感情はさほど動かされませんが、「協会らしい協会」に対しては、人々は愛着を持ちやすい。
無難な会社よりも、はるかに人々の心を動かします。
この特徴が直感的に分かる人は、協会を作るのに向いています。