前回
「いちど整理しておこう:協会の「資格」ってなに?【1】」
の続きです。
協会の資格はあくまで民間資格ですが、世のため人のためになるような資格であれば、多くの人に取ってもらいたいですね。
民間資格に「公的な性質」を与える方法はいくつかあります。
ここでは「教育訓練給付制度」「社内検定認定制度」を紹介します。
いずれも条件や審査があるので簡単ではありません。
ここに挙げるような「公的な何か」を追い求めるか、それとも、資格本来の価値や知名度を上げるために時間やエネルギーを使うかは、よく考えて選択しましょう。
教育訓練給付制度
ハローワーク(厚生労働省)では求職者に「資格を取ること」を推奨しています。
資格を取ればその人のスキルも上がるし、就職もしやすくなるので、ハローワークが資格取得を推奨するのは当然といえます。
ハローワークには「おすすめの資格リスト」があります。
このリストにある資格を求職者が取得した場合、その費用の一部を国が支援します。
このリストに載っているのはかつては公的資格ばかりでしたが、近年は民間資格もこのリストに載るようになりました。
むろんこのリストに民間資格が載るためには条件もあり、申請して審査を受ける必要がありますが、審査に通れば一定期間、リストに掲載されます。
リストに載るということは、ある意味、「ハローワーク(厚生労働省)に認められた資格」ということになりますね。
社内検定認定制度
自社の社員のスキルアップのために、社員向けに研修などを行い、試験に合格した社員に何らかの肩書を与えている企業を、ときどき見かけます。
「社内資格」「社内検定」などと呼ばれているものです。
たとえば、
- デパートの化粧品売場に「美容アドバイザー」のような社内資格を持つ社員がいて、顧客の美容相談にのっている
などなど。
こうした「社内資格」「社内検定」を、国(厚生労働省)が認定する制度が存在します。
社内検定認定制度と呼ばれます。
むろん認定を得るためには条件もあり、申請して審査を受ける必要がありますが、認定を受けた場合、なんとなく国家資格になったような感じになれるところが面白い点でしょう。
ただしこの制度を活用できるのは「社内資格」「社内検定」の場合のみです。
したがって協会の資格はそのままでは使えません。
たとえば協会の資格を「社内資格」「社内検定」に活用したいという企業と提携して認定取得を目指すなどの工夫が必要です。
(補足)民間資格は国家資格になれる?
一般的には「民間資格は国家資格になれない」と思われがちですが、実際には民間資格が国家資格になった事例が存在します。
最近では「キャリアコンサルタント資格」がそうです。
キャリアコンサルタント(通称キャリコン)は、職業選択や能力開発に関する相談・助言を行う専門職です。
この資格は「名称独占資格」に該当します。
すなわち、この資格を持たない人が「キャリアコンサルタント」またはこれに近い名称で活動することは禁じられています。
キャリアコンサルタントはかつては民間資格でしたが、2016年に国家資格となりました。
国家資格になるには、そのための法律が作られる必要があります。
法律を作ることができるのは国会だけですので、民間資格を国家資格にしたければ国会議員に動いてもらわなければなりません。
いわゆる「政治」の領域になります。
まとめ
協会の資格のような民間資格の場合、国家資格のような「法律による特権」がありません。
しかし民間資格といえども、
- 「知識や能力があることの証明」に使える
- 同じ資格を持つもの同士、連帯感が生まれやすい
という効果があるため、存在価値は大いにあります。
なお、民間資格に「公的な性質」を持たせることができる場合があります。
また、法律の制定が必要になりますが、民間資格が国家資格になることも不可能ではありません。