食品のブロック
ある食品会社が主婦やOLを集めて座談会を開いたときのこと。
司会者が「どんな食品を買いたいか」と質問をしたところ、座談会出席者たちは
「低カロリーのもの」
「ヘルシーなもの」
「オーガニックなもの」
と口を揃えて答えたそうです。
ところがそのあと、参加者たちは座談会の帰りにみんなでジャンクフードを食べに行った…。
そんな、落語のような逸話があります。
ようするに、
- 意識された言葉として出ること
- 無意識・潜在意識に思っていること
この両者は必ずしも一致しません。
座談会では「健康的な食品がほしい」、そう言っているときはおそらく本気で思っているのでしょう。
しかし実際に買い物をする段になると、異なる行動をします。
なので食品会社の側も、
「座談会でみんな言ってたように、やはり求められているのは健康的な食品だ!」
とバカ正直に解釈しないよう、気をつけなくてはいけません。
婚活のブロック
婚活の協会をしている人からこんな話を聞きました。
その協会の婚活セミナーは盛況で、満足度が高く、リピーターも多いそうです。
しかしある意味、これはおかしなことです。
婚活セミナーにリピーターが多いのは、
「恋愛ができていない」
「結婚できていない」
つまり、
「セミナーの効果がなかった」
ということでもあるからです。
セミナーの内容が悪いわけではありません。
というか、とても良い内容になっています。
イメージコーディネーションの話などは、婚活していない人にも聞かせたいほどです。
だからこそ満足度が高い。
受講者からは、
「とても勉強になりました。 セミナーを通じて婚活仲間もできました。これからもよろしくお願いします」
という声が返ってきます。
しかしよく考えると「婚活仲間もできました」も、ちょっとおかしいですね。
婚活セミナーは本来、仲間づくりの場ではないからです。
なので、協会としては
「婚活仲間など作らなくていいから、このセミナーで自分を磨き、よいパートナーを見つけてさっさと卒業してほしい」
というスタンスなので、複雑な思いです。
くりかえしますが、この「なかなか結婚できない婚活セミナー」は、人気で、リピーターが多いです。
ビジネスとしてはうまくいっています。
ブロックを自覚せよ
ここまでで述べた
- 食品会社の座談会
- 結婚できない人気婚活セミナー
の事例で言いたいのは、「常識を疑え」ということです。
世の中には
「メリットがないと売れない」
と思いこんでいる人がおおぜい、います。
そういう人に言わせると
「健康メリットがないと食品は売れない」
「結婚できない婚活セミナーはあかん」
ということになるでしょう。
そういう人は、協会や資格講座に対しても
「メリットがないと人は会員にならない」
「仕事にならないと人は資格を取らない」
と主張します。
ですが実際は必ずしもそうではありません。
「結婚できない人気婚活セミナー」は、
ほんとうに結婚したいのかどうか自分でもよくわからない人が、
「結婚できないと孤独になる」
などとメディアであおられたり、
「いい年齢なんだから家庭を持て」
と周囲からあおられたりして、不安な気持ちになっていたところ、この婚活の協会に参加してみたら、自分と同様に「あおられて不安になっている人」と知り合うことができ、やすらぎを得ることができた。
それが良くて婚活セミナーのリピーターになっているのかもしれないのです。
「結婚できてこそ、婚活セミナーだ」
という常識は、必ずしも正しくありません。
楽になれ
あなたの「常識感覚」はどうでしょうか。
「メリットがないと人は会員にならない」
「仕事にならないと人は資格を取らない」
という常識にとらわれていませんか。
会員から
「協会の資格を取ったけど仕事にならないじゃないか」
という批判を受ける協会があります。
こういう文句が出てくるのは、
- 「資格を取って仕事にしたい人」が会員になるように協会を作ったから。
- 「資格取得にかかった金額をその後の仕事で回収したい」と考える人を対象にして協会を作ったから。
- 「資格を取れば仕事になりますよ」という触れ込みで会員募集をしたから。
そういう協会にしてしまった以上、そのとおりにならなければ批判が出てくるのは無理もありません。
ではなぜ、そもそもそんな協会を作ってしまったのかというと、協会を作る側に
「メリットがないと人は会員にならない」
「仕事にならないと人は資格を取らない」
というメンタルブロックがあったからです。
協会はもっと柔軟に、ある意味「楽」に考えましょう。