先行き不透明な世の中を反映し、新規事業を計画する企業が増えています。
けれども、これまで新規事業は
「株式会社という枠組みの中」
で語られることがほとんどでした。
つまり
- 新規事業=新しい事業部を作る
- 新規事業=新しい会社を作る
という枠組みです。
「新規事業=新しく協会を作る」
という選択肢は、これまで発想がなかったのではないでしょうか。
なので今回は、
「協会を作る」という選択肢も大いにある
ということを提唱したいと思います。
協会という事業モデルの強み
金銭に対して清潔なイメージがある
協会は会社と同じように経済活動をすることができます。
すなわち売上をあげ、利益を残すことが許されています。
しかし同じ経済活動をするにしても、会社と協会では印象が異なります。
会社が経済活動をすれば、「利益を追求している」ように見えます。
これに対し、協会が経済活動をすれば、「世のため人のために行う活動が、 結果的に利益を生み出している」ように見えます。
「協会の経済活動にはクリーンなイメージがある」
と言い換えてもよいでしょう。
その分野の専門団体と見られやすい
「名は体を表す」という言葉があります。
名前を見れば人や団体の実体が分かる、という意味です。
会社の場合、必ずしも「名は体を表す」ではありません。
たとえば「北日本産業株式会社」「株式会社タナカ」(いずれも架空の名前)などは、名前を見ただけではその会社が何をしているのか、よく分かりません。
いっぽう、協会は「防災マイスター協会」「ペーパーレス推進協会」(いずれも架空の名前)など、名前を見ただけでどういう協会なのか、だいたい分かります。
これにより
「防災のことは防災マイスター協会に聞けばよい」
「ペーパーレスのことならペーパーレス推進協会に聞こう」
となります。
結局、専門団体という扱いを受けやすくなります。
取材を受けやすい(メディアに好まれやすい)
前述したように、協会の場合は
「防災のことは防災マイスター協会に聞けばよい」
「ペーパーレスのことならペーパーレス推進協会に聞こう」
となりやすいので、自然と、メディアの取材も受けやすくなります。
競合が生まれにくい
会社の場合、
「あの会社は繁盛しているようだ。我々も同じことをしよう」
と、競合として参入してくるのがふつうです。
協会の場合、
「あの協会は会員が増えているようだ。我々も入会しよう」
ということになります。
このように、協会は
「競合が生まれにくい事業のありかた」
だと言うことができます。
新規事業として協会を作るメリット
良いイメージの事業ができる
協会は一般に「非営利団体」の扱いを受け、したがって
「社会のためにボランティアをしている」
ような良いイメージを持たれやすい。
にも関わらず、実際には協会も営利活動ができます。
これは
- 世間のイメージする「営利」「非営利」
- 法律上の「営利」「非営利」
が異なっているところに起因します。
協会が利益をあげたりお金儲けをしたりするのはじつは自由です。
会社に許されている営利活動はすべて、協会にも許されています。
したがって、協会は、「イメージがよい」にもかかわらず、「収益事業ができ」ます。
営業しなくても会員が広めてくれる
また、協会は顧客に「会員」という枠組みを提供します。
資格認定を行う協会の場合、「会員」という枠組みに加え、「資格保持者」というステイタスも提供することになります。
「会員」という枠組みや「資格保持者」というステイタスがあることにより、ロイヤルティは向上します。
それどころか、
「会員が会員を呼ぶ」
「資格保持者が資格受験者を呼ぶ」
という、
勝手に増えていく状況
を設計することも可能です。