「協会を作りたいけど、声をかけた仲間が なかなか動いてくれない」
「協会を作ったけれど、理事の人たちがなかなか動いてくれない」
「協会を作ってしばらくたつけれども、会員たちがなかなか動いてくれない」
こうした悩みを抱えている理事長は少なくありません。
その結果、理事長だけが一生懸命に動く、個人事業のような協会になってしまいます。
今回は、この問題に対処するヒントを紹介します。
「わたし」と「わたしたち」
スピーチを学んだ欧米人は、主語として
「わたし(I)」ではなく、
「わたしたち(we)」を使うといいます。
日米の政治家の演説を比較してみると、アメリカの政治家は we を連発しています。
けれども日本の政治家が「わたしたち」を使うのはほぼゼロだそうです。
「わたしたち」を使うと何がよいのか。
「わたしはこうするつもりだ。みなさん、賛同してください」
と言えば、「わたし」と「みなさん」とのあいだに線引きや溝が生まれます。
話し手と聞き手は、別々の視線になります。
「わたし」は頑張るけど、「みなさん」はそれをただ暖かい目で見ているだけになります。
いっぽう、
「わたしたちはこうしようよ」
と語りかければ、相手は「自分もそうする」と思いやすいですね。
他人事ではなく、自分事だと感じます。
話し手と聞き手の視線方向が、同じになるからです。
「わたし」と「みなさん」の区別がなくなり、全員が「わたしたち」でくくられます。
会議の場で「わたしはこうする」しかこれまで言わなかった会社社長が、
「わたしたちはこうしよう」
という言い方に変えたとたん、社員が積極的に発言するようになった…
そういう実験結果もあります。
![](https://kyokaibz.com/wp-content/uploads/2023/11/kuma.jpg)
主語を複数形にしよう
協会の理事長には、ぜひこの違いを理解し、技法として使ってもらいたいです。
主語を「わたし」ではなく「わたしたち」に変える。
演説で使うのではありません。
理事長といえども政治家ではないから、演説をする機会はそんなにないでしょう。
むしろふだんの会話に注意をはらいます。
理事長のふだんの会話が「わたし」でできあがっているとすれば、
- 話し手である理事長
- 聞き手である会員
とのあいだの溝は、しらずしらずのうちに大きくなっています。
「がんばる理事長」を「何もせず暖かく見守る会員」。
そういう構図になります。
だから会員は動かない。
問題意識を共有できなくなっています。
そこで、意識的に「わたしたち」を使うことで、これまで動かなかった会員の心がほぐれ、動きだすようになります。
たかが言葉、されど言葉です。
まとめ
本記事では、組織のリーダーが直面する共同体意識の欠如に対処するために「わたし」から「わたしたち」へと主語を変える効果を解説しました。
主語を単数形から複数形へ変えることで、リーダーとメンバー間の溝を埋め、組織の一員としての関与を促し、協働の精神を育むことができます。
単なる言葉の選択が、組織内での動きや意識改革に大きな影響を及ぼすのです。